Q1. 債務者が自己破産すると言っているがどうしたら良いか?
A1. 債務者が自己破産の申立てをした場合、債権者はこれを止める手段はありません。
そして、破産宣告がなされ、その後、免責が確定すると債権の取立ては不可能となります。ただし、詐欺破産の場合やギャンブル等の免責不許可事由がある場合には免責は認められず、引き続き債権回収ができることになります。また、債務者に財産があれば、破産手続きにより、これを売却・換金して、債権者の債権額に応じて公平に分配されます。なお、保証人が要れば保証人についても破産しない限り請求は可能です。
Q2. 債務者の自己破産申立てに異議を述べたいがどうしたらよいか?
A2. 債務者が自己破産する場合、裁判所より「意見聴取書」というものが送られてくる場合があります。この意見聴取書は、破産の宣告をするかどうか裁判所が判断するための資料となります。意見聴取書に「破産宣告しないでくれ」などとは書けません。問われている項目に事実を記載するだけです。破産宣告をするかどうかは、裁判所が判断することだからです。ただし、破産者(債務者)の免責申立てに対して、債権者から異議申立ては可能です。ただ、その異議申立てに対して、裁判所は必ずしも免責不許可の決定(免責許可にならないと債務は残る)を下すわけではありません。異議が認められれば、免責不許可(ギャンブルによる浪費など)になりますが、破産者の約9割が免責許可を得ている状況では、難しいといえます。
Q3. 自己破産で免責手続き中に強制執行は可能か?
A3. 自己破産にも2つの方法があります。1つは財産が破産手続きの費用も出ない程度で、同時廃止の場合です。この場合、破産宣告と同時に破産手続きは終了します。
もう1つは、財産がある場合で、破産管財人が入って財産を処分・換金し、債権者に配当します。この場合、債務者の財産は破産管財人に委ねられますので、強制執行は禁止されます。前者の同時廃止の場合、破産宣告後、免責手続き中の給料等の債権や財産の執行は、学説上の異論もありますが、一応可能とされています。また、最高裁判所の判例もこれを認めています。
Q4. 借主が死亡した時は、どうすればよいですか?
A.4 債務者が死亡した場合、その債務は相続人に相続されます。通常は、被相続人(死亡した人)の財産(遺産)があるでしょうから、その中から支払ってもらうことになります。しかし、財産がない場合、相続人に各相続人の相続分に応じて請求する事になります。ただし、債務が多いことを理由に相続の放棄や限定承認といった手段を相続人がとることがあります。相続放棄の場合は、相続放棄をしなかった(または次順位)相続人への請求、限定承認の場合は被相続人の財産の範囲で債権回収をすることになります。
Q5. 債務者が財産名義を妻に変えてしまったが、どうすればよいですか?
民法424条では「債権者は債務者がその債権者を害する事を知りて為したる法律行為の取消を裁判所に請求する事を得」と定めています。これを法律用語では詐害行為取消権と呼んでいます。この場合、債務者が債権者から強制執行をかけられることを回避する為、妻に贈与したことが明らかであれば、詐害行為となり、この贈与は裁判所に請求して取り消すことが可能です。取消権はその事実を知ってから2年間で消滅しますので、ご注意下さい。
Q6. 債務者が財産の大半を親戚に贈与したのですが……
A.6 債務者が債権者を害する事を知りながら所有する財産の贈与を行ったような場合は、詐害行為となり、これを取り消すことができます(民法424条)。この場合には、裁判所にその行為の取消しを請求する裁判を起こさなければなりません。
Q7. 利息の約束がないと利息は取れないのでしょうか?
A.7 どちらか一方が会社(商人とされている)の貸借ならば、利息の約束が無くても、年6分の商事の法定利息を請求する事が可能です(商法513、514条)。また、売買代金ならば、支払期日までは利息債権は発生しませんが、支払期日を過ぎると債務不履行による損害賠償として年6分の遅延損害金を請求できます(同419条)
これが親戚、友人間の貸借ならば、あらかじめ利息の約束がないと無利息になります(民法587条)。ただし、期限を決めて催告したにも関わらず、支払わない場合は年5分の遅延損害金をとることが可能です。
Q8. 倒産した個人会社の社長から回収したいのですが……
A.8 株式会社とは名ばかりで、実質的には個人商店という会社は多く存在しています。
そして、会社の債務については社長個人は一切責任を取らないというケースもあります。これに対して、最高裁判所は「法人格が全く形骸化にすぎない」場合で「法律の適用を回避する為に濫用される場合」には、法人格を否認し、取引相手は会社の背後にある個人(社長)に責任追及できることがあると判決しています。ただ、どのような場合に法人格が否認されるかの判断は困難ですので、弁護士等の専門家に相談する事をお勧めいたします。
Q9. 下請の事故の責任を元請に請求したいのですが、どうしたらよいでしょうか?
A.9 民法は、自分の使用する従業員が仕事中に他人に損害を与えた場合は使用者が責任を負うという使用者責任を定めています(715条)。下請会社の社員は元請会社と雇用関係はありませんが、業務上の指揮監督関係がある場合には、元請会社の使用者責任が認められる場合があります。元請会社が現場に出向いて指図をするなど指揮監督関係がある場合はもちろん、下請人の従業員がした行為の結果を予見できた場合、下請会社の従業員に対し間接的に指揮監督権を保有している場合も、元請人の使用者責任を判例で認めています。
Q10. 運転手が債権を受領して行方不明になってしまったが再度の請求は?
A.10 債権の支払は、受領権限のあるものに対して行わないと、弁済の効力は発生しません。もちろん、本人に弁済すれば問題ありませんが、ビジネスの世界では代理人が受領するのがほとんどです。問題は、その代理人に受領の権限があったかについてです。すなわち、会社がその運転手に受領権限を認めていたかどうかです。
前にも運転手に受領権限を認めていた事実があれば、権限を越えた表見代理(民法110条)が認められる可能性があります。そうなると重ねて債権の請求はできないことになります。
Q11. 保証人に請求したら「覚えがない」と言われてしまったが……
A.11 最も望ましい保証の取り方は、保証人と債権者が対面して保証人の印鑑を押してもらうことです。それができないのであれば、保証人に電話連絡し、保証の意思確認を行い、かつ書類で保証人になってもらった旨のお礼を述べておくことです。
債務者が勝手に保証人の印鑑を使用して契約書に判を押したというのであれば、私文書偽造罪になります。
Q12. もらった手形が不渡りになったときの回収方法は?
A12. 手形は、売買代金の支払い、借入金の返済など、何らかの原因があって振り出されます。この元になるものを「原因債権」と呼びます。この手形の支払を受ける為に取引銀行へ手形を支払呈示し、この支払いが拒絶されることを不渡りといいます。
手形が不渡りになっても、振出しの原因となった債権は消滅するわけではありません(手形を代物弁済として受け取った場合は別)。手形が不渡りになったら、手形の振出人と話し合い、どのようにして債権を払ってくれるか交渉する事が必要です。
話し合いがまとまらなければ、裁判を起こして回収を図ることになります。
Q13. 売掛金の支払いができない腹いせに殴ってしまったが、その損害賠償債務と売掛金の相殺は可能でしょうか?
A13. 故意又は過失によって、相手の身体又は財産に損害を与えた場合は、不法行為となり、損害賠償の責任を負うことになっています(民法709条)。同時に民法では債権者と債務者がお互いに債権を持っており、弁済期が到来している場合には対等額で相殺できると定めています(505条)。しかし、この場合の売掛金債権者が負担している債務が不法行為により生じたものである場合には、自分の債権と相殺する事は禁止されています(509条)ので、債務者は相殺の主張ができません。堂々と売掛金の支払を請求して下さい。
Q14. 200万円のダイヤの指輪の代金を妻に請求したら、「勝手に買ったものだ」と言い支払拒否されたのですが……
A14. 妻の行った売買について夫が責任を負うのは、日常生活をする上で、通常必要とする費用に限られています。民法の規定では、これを「日常家事債務」として、夫婦の連帯責任としています。「食料品を購入した」「衣料品を買った」というのでしたら問題ないのですが、給料が50万円の会社員の家庭でしたら、「200万円のダイヤの指輪の購入」は日常家事債務とは到底認められるものではありませんので、夫には請求できません。
Q15. 下請代金を請求したら、今後「賠償額の予定」を約束するように言われたが、どうしたらよいでしょうか?
A15. 納期の遅れや納品できない場合に備え、あらかじめその場合の損害賠償額の予定しておくのが賠償額の予定です(違約金も同じ)。親会社は、賠償額の予定があると、約束が履行されなかった事実を証明するだけで、約束された賠償額を請求する事ができ、損害を受けたことの証明は不要です。問題は、納期遅れや納品できなかったことが、不可抗力であった場合で、よほどの立証ができない限り賠償しないのが通常です。もう一度親会社に賠償額の予定の申入れの理由を確認するなどして、双方、話し合うより他はありません。
Q16. 貸金請求を放置していたら時効になってしまったが……
A16. どのような債権でも一定期間放置すると、時効により消滅します。貸金に関しては、個人同士で10年、会社同士や会社と個人の場合は5年を経過すると消滅します。では、時効により消滅した債権は永久に回収できないかといえば、そうではありません。万が一、相手に請求した際「今は支払えないけど待ってくれ」と言ってくれば時効の利益を放棄したことになり、債務者は支払義務を負います。
また、債務者に対して債務を持っていれば、時効にかかった債権で相手方の債務を相殺する事が可能です(弁済期が来ていることが必要)。
Q17. 父親の死亡で預金債権を下ろしに行ったら注文をつけられてしまった
A17. 金融機関へ預けられている預貯金は、通帳と印鑑さえあれば誰でも引き出すことが可能です。父親の死亡後でも、相続人であれば預貯金の請求は可能です。しかし、金融機関側が、上記のような事情を知っている場合は、その請求行為が正式な相続人の行為であるか確認します。そのため、金融機関側では、戸籍謄本、相続人全員の印鑑が押されている払戻請求書(印鑑証明付き)などの書類の提出を求めます。また、例えば、引き出したお金が病院費用や葬儀費用に充当する為であっても、相続人全員の同意を得ていなければ、後に相続人同士の遺産分割でもめる原因になりますので、死亡した父親の預貯金に手を付ける場合には十分に話し合い、その扱いについて決定する事が必要です。
Q18. 敷金を家主が返してくれないのですが、どうしたらよいですか?
A18. 敷金は借家契約の際に、賃借人が家主に対して差し入れる金額で、契約が終了したときに滞納家賃、修繕費、原状回復費用等に充当され、残額があれば借家人に返還されるものです。敷金を返さない家主には、建築ローンの返済に困っていたり、経済的に困窮しているケースが多いようです。このような場合には、費用をかけて裁判を起こし勝訴判決をもらったとしても、成果が上がる例は少ないようです。そこで、契約終了前に、敷金分は家賃の前払いにしてもらう交渉をするか、あるいは家主が倒産などの状況にあれば、逆に賃借人の側から解約し、敷金の返還を請求して、返還を受けられない場合には、その後の家賃の額が敷金の額に近くなるまで立ち退きを拒否して頑張るしかありません。
Q19. 突如パートを解雇されたが、予告手当ては請求できませんか?
A19. リストラは大企業に限らず、中小企業でも数多く行われています。労働基準法では、使用者が労働者(パート、アルバイトも当然労働者です)を解雇するには、1ヶ月前に解雇の予告を行うか、1か月分の賃金を前払いして即時解雇しなければならないと規定しています(20条)ただし、10日分の賃金を前払いして、20日前に解雇の予告をする(通算30日になる)ことは認められています。
1か月分の予告手当てを請求して裁判を起こすのでは費用倒れになってしまいます。この場合には少額訴訟制度を利用する方法があります。
Q20. 会社整理をしたい旨の債権者集会招集通知がきたのですが……
A20. 会社が倒産した場合には、会社更生法や破産法に基づく整理ではなく、債権者と債務者が話し合って行う私的整理がほとんどです。すなわち、裁判所を介入させずに行うものですから、法的拘束力はありません。このような場合には、社長が財産を隠匿しているなどの計画倒産の疑いがないか調査する事が重要です。
計画倒産の疑いがある場合には、社長の財産に仮差押や仮処分をかけて訴訟に持ち込む方法と、破産を申し立てて大口債権者や債務者と話し合って解決する方法が考えられます。なお、招集通知と一緒に送られてくる白紙委任状に署名や押印をして送ることは、悪用されるケースが多いので、絶対に避けて下さい。
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